<   2009-10   >
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

カテゴリー

最新のトラックバック

    検索

    ログイン

    その他

    予定を急遽変更してY様邸へ

    昨日ブログでお伝えした通り御殿場のO様邸に今日も向かいました。が・・・
    御殿場は雨。
    外部の塗装工事ですからもちろん施工不可能となり急遽予定を変更して三島市のY様邸新築工事に向かいました。


    まず、軒天の塗装から取りかかります。艶消しのアクリルエマルジョン塗料を設計士さんが選んだ色に調色(今回は白の塗料に、黒、黄、赤の調色用エマルジョン塗料をを少しずつ混ぜて、選んだ色見本に合うように作りました)して下塗りを施します。

    その後、釘を打った場所の凹部全てにパテ処理をして平らにします。


    パテが乾いたらその上から下塗りに使用したアクリルエマルジョン塗料を上塗りしていきます。

    月曜日は破風板をウレタン塗料で塗っていきます。


    夜から全日本磯釣連盟、静岡県支部の会合があり、約3時間の会合が終わり帰宅してから石鯛竿の手入れをしました。久々に・・・

    石鯛竿の手入れ・・・って?


    普段、私が使っている石鯛竿は布袋竹を使用した和竿です。江戸和竿の系統を継承した竿師が一本に付き3年程の期間を費やし作成しています。1年に1度、九州の竹林から目利きで竿作りに適した布袋竹を数千本切り取って、倉庫で3年間自然乾燥させ、それから油抜き、切り組み、火入れ、ガイド、リールシート付け、漆塗りなどなど様々な工程の後完成となります。竹の採集から乾燥まで3年。作成に3年余り。完成してから竹自体を保護する塗装としての漆塗膜が完全乾燥、硬化するまで2年。その後やっと石鯛竿として日の目を見る訳です。

    約100本の竹から1本の竿がやっと出来ると聞きます。竿師が一生の内に何千本もの竿を作成しても、同じ調子の竿は2本と在りません。よって和竿のそれぞれは世界に一本しか無く、まさしくオンリーワン。

    現在8本の石鯛和竿を所有していますがそれぞれ調子や味わいが違うので愛着が湧きます。

    でも実際、8本も必要なのか?

    伊達や酔狂で持っている訳ではないのです。

    1本の和竿を一日釣りに使ったら、竹の繊維のある程度の修復、曲がった癖が治るまで1か月の時間を要し、一か月間寝かせないと竿が痛んでしまいます。要するに一週間に1回、一か月に4回釣りに行く人は4本の石鯛竿が必要になり、私の場合は時に1週間に2回行くこともあるので必然的に8本は最低必要になります。


     で、普段の手入れはツバキ油を竿全体に塗りこみます。

    植物性の油の中でもツバキ油はいつまでもべた付かず、日本古来の自然塗料の「漆」に良く馴染む為使用されます。


    傷、割れの確認をしながらツバキ油をたっぷりと塗りこんでいきます。


    道糸を通すガイドが一直線に並んでいるか確認です。ガイドが並んでいない場合は竹自体がねじれている証拠。竹は湿気を吸ったり吐いたり、釣りに使っているときには一日中太陽にさらされ熱を帯びたり、雨天時には一日中風雨にさらされる、竹竿はそのような過酷な状況下で変に曲がったり、ねじれたりすることが稀にありますのでそのような症状が現れたら、作った竿師に曲がり、ねじれを治す「火入れ」(炭火で竹をあぶりながらため木という道具で曲がり、ねじれを治す作業)という作業をお願いなければなりません。
     

    「とにかく手がかかります」
     



    お気に入りの『竿敏作、別誂4本継』 竿敏独特の柳調子で石鯛が掛かると抵抗なく元竿まで曲がります。綺麗な満月の弧を描き写真映りは最高です。リールシート上の滑り止めであるカンシツの出来具合が見事です。漆が乾かないうちに細かい金剛砂を均一にふりかけ、「むろ」(漆を乾燥させる桐製の長く大きな箱)に入れて数週間寝かせます。その後均等に絹糸を約2分幅で巻き、その上に何カ月もかけて漆を塗ってはむろで乾燥、水砥ぎ後に塗り、又、むろで乾燥、この工程を10工程重ねていきます。

    藤沢塗工店もたまに仕事で漆を扱うことがありますのでその大変さは解ります。

    考えただけでも気が遠くなるような作業工程です。

    竿師にとっては仕事ではありますが、石鯛釣りという趣味(遊び)のための竿にこれだけの手間を掛けられることにはただただ感服至極であります。


    これから1週間かけてツバキ油を漆の塗膜層になじませ、その後残った油分を乾いたウエスで拭き取ります。

    和竿の手入れは大変ですが、竿師が一本一本匠の技を駆使し、渾身の情熱を傾けて作った竿であると思えば邪険には扱えません。

    大切に大切に愛でながらの竿で釣る一枚一枚の石鯛はそれこそ珠玉の一枚となります。

    「石鯛釣り」・・・、だからこの釣りは止められません。


     

    有限会社 藤沢塗工店 | General | 09/10/10 | 22:55 | comment(0)| No Trackbacks