おおお!丹吉鈎(たんきちばり)だ!
今日は日曜日。
昨夜遅くまでDVDを観ていたものだからちょっと遅くにベッドからごそごそと起き上がり、別棟のアジト(書斎?釣り道具部屋?)にこもりっぱなしの一日でした。
冬の間は”メジナ釣り”にばかり出掛けていますが、最近はこの3本の上物竿(メジナや黒鯛用の釣り竿のこと)を持って釣りに行きます。
左からトーナメント 極剣1.5号5.2・F、真中がDXRエアチューン1.35号5.3、右がトーナメント マスタードライ1.25号5.3。
主に使用するのは極剣。
万が一極剣が破損した時の為にサブにまわって待機するのはDXR。
強風や雨の時に威力を発揮するのはインターライン(中通し竿)のマスタードライ。
釣り場の天候、状況によって使い分けたりするのでこの3本は最低限必要な本数なのです。
「そんなに何本も必要なのか?」って?
「要るんです!」
昨年、12月に新調したトーナメント極剣1.5−52・F。
この竿って実に面白くて愉しい竿。
厳寒期のメジナはパクッとエサを喰ってシューってウキを消し込むようなアタリを演出してはくれません。
浮力が無いウキを沈ませながらメジナのタナ(泳層)を探り、竿先に伝わる振動でアタリを取るような釣りを強いられるのが寒メジナ釣り。
マスタードライやDXRもそんな竿先で訊くアタリを伝えてくれるには伝えてはくれますがこの”極剣”はスーパーメタルトップといってチタン合金製の竿先を備えているので
「コンコンッ」と明確に手元にアタリを伝えてくれます。
例えば30メートル位の沖の潮目まで仕掛けを流してその辺りでウキがユルユルユルと沈んで見えなくなったとします。その時点では魚が食ったのか、潜り込む潮によって仕掛けが沈んだのか解りません。
そんな時余分にリリースされている道糸を巻きとり、竿先を上にあげて道糸を張り、竿先で訊いてあげます。
この時魚がエサを咥えていれば「コン!」と微かに竿先から手元にアタリが伝わってきます。
でも「コン!」はDXRとかの他の竿の場合。
でも極剣は「コンッコンッコンッ!」
尾びれを振って泳ぐ姿が右脳にダイレクトに浮かぶようです。
そしてスッと竿先を下げて、シュシュシュッと道糸を巻きとり、スーッ竿先を上げるとグ―――ッと竿に魚の重量が乗ってきます!
すかさずビシュッ!っと合わせると・・・。
「キタ――――――!!!」
となる訳です。
喰い渋るメジナを掛け合わせる愉しみがこの”極剣”で倍増しました。
やっぱ魚釣りは釣れた感より釣った感の方が愉しいですからね。
アジト内に引き籠り、釣り道具が雑然と積まれている棚と記憶の奥の方から古ーい大きめのタッパーウエアを引きずり出すと何やら古いハリやら仕掛けが出てきました。
「あーそういえばこんなの買ったな〜懐かしいな〜」
がさごそ・・・。
「おおお!丹吉だー!」
丹吉の石鯛バリが出てきました。
とってもレトロなパッケージの丹吉鉤。
いつ買ったのか?
いや、この辺では売ってないしそうそう手に入る代物では無い、しかも一袋7本入って150円?
オーナーばり製の手研ぎの石鯛バリが7本で600円だから・・・安い!
じゃなくて!一体全体何十年前の貨幣価値なんだ?
誰かから譲ってもらったかなんかなんでしょうけれど記憶にない・・・。
丹吉鉤は高知県の釣り針メーカー広瀬丹吉商店の鈎で天明元年(1781年)創業の老舗釣り針メーカーです。
200年間も釣り針作ってるって凄いな〜。
資料では京都の神社鍛冶が応仁の乱を避け、高知に移住。その後刀鍛冶の生業の傍ら釣り針を日本刀製造技術を駆使して作っていたのが丹吉鉤の始まりだそうです。
3代目丹吉の頃に兵庫県の播州地方(今の加東市や西脇市周辺)の小寺彦兵衛が弟子入りしてその技術を播州地方に持ち帰り今の兵庫県の地場産業である釣り針製作の隆盛の始まりでちなみにその3代目丹吉は坂本龍馬の金子元だったとのこと。
私がまだ石鯛釣りを始めたころ神津島のオンバセのカドで一緒になった初老の石鯛釣り師から丹吉鉤の存在を教えてもらい、その時に丹吉の石鯛バリ仕掛けを1本分けてもらい使ったことがありました。
現在の釣り針より若干柔らかい感触で、石鯛が丹吉を噛むと石鯛の歯形が付いて石鯛の居場所を知らせてくれるとその釣り人は教えてくれました。エサ付けの際や沈み根にハリ先が触るとハリ先が鈍るのでフックシャープナー(釣り針用砥石)で研ぐのだとも教えてくれました。
石鯛のアタリを横目で愉しみながらシュ!シュ!と丹念に針先を研ぐそのゆったりとそしてどっしりとした釣り様は正に関東の石鯛師としての貫禄が溢れ憧れるものがありました。
さあ、この”丹吉”をどうしようか。
コレクションとして残しておくか、あくまでも釣り道具、使っては研ぎ、使っては研ぎを繰り返し石鯛バリとしての『鈎生』を全うさせるか・・・。
悩むところです。
今日は久しぶりの釣りネタでした。
では、また。