何もいない神子元島・・・
6月21日(日)に神子元島に石鯛釣り行ってきました。
私が会長を務める沼津潮倶楽部の神子元島磯釣り大会が開催されました。
午前3時50分南伊豆、手石港をブラックエンゼル磯治丸と共に出港です。
少しウネリがありましたが午前4時5分下田沖10キロに浮かぶ神子元島が見えてきました。
激流洗う神子元島、石鯛、モロコ、メジナ、イサキ、カンパチ、ヒラマサ何でも来い!まさに磯釣りパラダイスです。
ほの暗く、小雨降る中、渡礁です。
ここは、通称アンドロという磯です。伊豆半島最南端の石廊崎方向から来る潮流がぶつけるA級磯です。アンドロ・・・私がまだ生まれる前のずーっと前は磯釣りなんて道楽はほんの一つまみのお金持ちの旦那衆しか出来ない道楽でした。そんな昔のある日、ある旦那衆が銀座のクラブのママを連れてこの神子元島に釣りに来たそうです。まだ磯釣り場としては未開拓の神子元島ですから恐らく伝馬船に小さいエンジンが付いたような船を船頭ごとチャーターし、激流に翻弄されながら大変な思いをして来たのは想像するのに難しくありません。そしてその二人が渡礁した場所がここアンドロ、当時は当然名も無い磯です。釣り人として人類初渡礁の記念にこの磯に名前をつけようとなり旦那衆と銀座のクラブのママは色々考えました。旦那衆が「どんな名前がいいだろうか?」「そうだ!お前の店の名前がクラブ、アンドロメダだ。ならばアンドロメダと名づけよう!」 数十年の経過のなかでアンドロメダがいつしか釣り人達に省略されてアンドロと呼ばれるようになったとさ。
明るくなってからのA級磯アンドロ、メジナ釣り、石鯛釣り、タカベ釣りの釣り人たちで賑わってます。
私はガケシタという磯に渡りました。ここガケシタの名前の由来は・・・崖の下にある磯だからガ・ケ・シ・タ。 ぁ、ここは見たまんまなのね?
渡礁直後から激流が左から右へザブザブと流れています。まるで大雨で増水した狩野川の様です。いかにも石鯛が釣れそうな潮流です。いやがうえにも期待感が高まります。
し〜〜〜〜〜〜ん
しかし・・・時は経てども、経てども石鯛はおろか、エサ取りと言われる雑魚からの魚信(アタリ)をも愛竿、竿敏三本半継ぎは捉える事が出来ません。こんなことは珍しいです。底潮(海底近くの潮)が冷たいのでしょうか?石鯛は海底近くに棲む魚ですので海底近くの水温が低いと活性が低くエサ活発に食べません。一緒に渡礁したO君、Yさんも口を揃えて「神子元でこれはありえねーだろー!?」
もう完全に諦めモードにどっぷり浸かっていた頃、竿先がフワン、フワン、ビヨン、ビヨンと揺れました。
「おーっ、アタッたー!」
釣れた魚は・・・
ぐね、ぐね、うね、うね、にょろ〜〜〜ん
案の定ウツボ(通称ジャウタ)でした。竿に伝わる揺れ方で大体それとは判るものです。
【ウツボ】 ウナギ目ウツボ科 標準和名ウツボ
石鯛釣りにはつきものの外道中の外道です。仕掛けをぐるぐる巻きにして使えなくしてしまうし、すぐ噛みつこうとするし、噛みつくと歯が内側に倒れて引っ張っても取れないような仕組みになっていて、無理に引き抜くとザクザクと皮膚が引き裂かれてしまいます。とてもデンジャラスな魚ですのでその場でハンマーで頭を殴打し、強制昇天の後、海に返します。かわいそうですが・・・房総や西伊豆の方では干物にして食べます。冬場のウツボは鍋にすると抜群に美味く、幻の高級魚クエ(関東の呼び名はモロコ)のクエ鍋に匹敵するとも・・・しかしこの皮の柄が・・・この柄が食欲をそぎ落としてくれます。
暇な石鯛釣りの合間にO君がタカベ釣りをチョイチョイッと。20分ぐらいで15匹ぐらい釣ったかな?
【タカベ】 スズキ目タカベ科 標準和名タカベ
20センチから25センチぐらいの魚で、伊豆半島周りではあまりたくさん釣れませんが下田沖根の石取根、横根、神子元島周辺ではこの時期、専門に釣れば何十匹、上手な人は何百匹も釣れます。タカベの旬は正に今。塩焼き、刺身共に脂が乗っていて実に美味いっ!足が早いので(鮮度が落ちるのが早い)ので魚屋さんにはあまり並びません。仮に並んでもあまり売れません、なぜならば今の時期のタカベはお値段がお高いからです。そーです、高級魚なんです。下田近辺では1キロ四千円ぐらいで取引されるそうです。
結局、磯上がりの午後1時までウツボ以外なーんにも釣れませんでした。釣れる訳ありません、掃除機で吸った後の様に何にもいないんですから・・・
滅多に釣れない石鯛・・・だからこそ釣ったときの1枚は尊い、その尊さをみんな知っているから祝福しあうし、記憶が鮮明に残るんです。「夢があるっ。だから石物(石鯛、石垣鯛の総称)やってんだっ」
男振りする釣り、石鯛釣りってこんな釣りです
来週の28日はオーナーカップ東日本石鯛選手権、伊豆半島大会が開催されます。北関東、千葉、東京、埼玉、神奈川、静岡、山梨在住の?オーナーばり社製の石鯛バリを愛用している石鯛釣りファン約600人で組織されるオーナー石鯛フィールドメンバーのみが参加できる大会です。私はオーナー石鯛フィールドスタッフの事務局長を努めていますので準備が大変です。いきゃー(伊豆半島の方言で大きいと言う意味)石鯛釣りたいなー