よっ!新人!(アルバイトですが)
こんばんは。
”シャチョブロ”です。
「藤沢塗工店」に新人が入りました。
新人です!(短期アルバイトですが)
とりあえず使い古しのアディダスジャージにナイキスニーカー。
バラバラ。
コーディネートがなっていません。
鼻炎なのでマスク。
安全衛生対策としてヘルメット。
まだまだ全然、職人っぽくない出で立ちですがよろしくお願いします。
新人は雨戸の劣化塗膜をガリガリとケレン清掃工事からはじめます。
これは必ず最初に通る関門で大体この作業で本人の器用さ、辛抱強さとか判断できます。
ぺらんぺらんの体つきでヨイショヨイショと躊躇なく足場を上っていきます。
高い所に上っても怖いとか言いません。
ケレン工事もとりあえずこなします。
全く初めての未体験ゾーンなのにおかしいな〜。
新人:「どこまで塗膜を取っていいか、イマイチわからないさ」
親方:「そっか?でも出来てるぜ。こういうところはこうやってこの道具とこの道具をこうやって使ってこういうところはこんな使い方してあーしてこーして云々かくかくしかじかか・・・。」
新人:「あ、なるほど・・・」
そんなに器用では無いはずなのに上手にやります。
ほったらかして後で出来栄えを見てもまあ、まあです。
まあ、まあの所は僕らがフォローしながら後の工程を進めていきます。
でもなんか不思議。
「俺が始めたばっかの時こんなに出来たっけ?」
おかしいな〜。
こちら側は雨戸の下塗り工程。
アガチスという木材は塗料を吸い込む木材ですのでたっぷりと塗り込みます。
2階部分の雨戸の下塗り行程が終了しました。
前日に行っていた雨戸の下塗り工程が終了している雨戸の上塗り工程です。
右手に八分刷毛。左手には人形刷毛と2寸刷毛を持っています。
細かい塗装工程にはこのように用途別に刷毛を使います。
刷毛と一口に言っても色々種類がありまして、もの凄く沢山の種類があります。
ホームセンターに売っている刷毛では全くと言って用をなしません。
塗料の種類によって使用する刷毛の種類が違いますし、塗る場所、下地、仕上がり具合によっても使う刷毛が違ってきます。
工務店の監督さんなんかが時々ペンキと刷毛頂戴!なんて軽く言いますが、ホントはとんでもありません。
小さい8分刷毛だって1本1000円ぐらいするし、白毛の2寸刷毛なんて1本3000円ぐらいするんです。
「冗談じゃないですよ。ホント、マジで」
中国製の安い刷毛なんかは1本100円ぐらいのもありますが、前々使えません。
いや、使えますよ。使おうと思えばね。
でも塗料の含み、塗料の馴染み具合、塗料の伸び、毛の1本1本の弾力、張り、柄を握った時の握り易さ、仕上がり具合などなど国産のいい刷毛は高くても使い勝手や具合が月とすっぽんです。
習字の筆や塗装刷毛の製作過程なんかは実際に見てみるとものすごく繊細な作業でビックリします。
刷毛作りの職人さんが精魂込めて作ったものですし、自分たちが大事に使って行く過程で本当に良い刷毛はもの凄く手に馴染んで使いやすくなっていくものです。
そんな刷毛って絶対にぞんざいには扱えません。
塗るときには下げツボ(塗料を入れる缶)の中に塗料が入っていて、その塗料に一瞬のタイミングで刷毛の先端を浸しますが、一瞬浸けた刷毛の重さを職人の手は感じ取ります。
刷毛が含んだ塗料のたった数グラムから十数グラムの塗料の重さを感じ取ります。
油性の塗料と水性の塗料の比重の違いさえも感じ取ることが出来ます。
その感じ取った塗料の重さでどれくらいの範囲が塗れるのかも瞬時に感じ取ることが出来ます。
という事は含んだ塗料の重さを瞬間的に察知して塗る範囲の広さを決めるのではなく、このくらいの範囲を塗るのにどのくらいの塗料を刷毛に含ませればいいのかと職人の手と脳が感じ取って、一瞬の間に刷毛の先端の数ミリを塗料に浸けれが良いのか、はたまた数センチを浸ければいいのかを判断して日々塗装している訳です。
職人の手作業って感心するものがありますが、それが当たりまえに出来て当たり前の職人であって決してすごいものではありません。
でも、職人は人間ですからロボットのように画一化した仕事は出来ません。
職人も十人十色。
それをいかに画一化した最高の仕事を残していけるのかが永遠の課題です。
人間国宝クラスの職人さんが言う言葉・・・。
「死ぬまで修行です。私なんざぁ、・・・まだまだですよ」
美しさすら感じます。
そろそろ外壁塗装に向けての養生が始まります。
明日も新人!頼むよ!
私達も新人の直向きさに学びながら自問自答の日々をひた走りましょう。
では、また。