『商品力』がある住宅。
こんばんわ。
”シャチョブロ”です。
今日から4月。
そして今日はエイプリルフール。
誰にでもばれるウソとかつく人も最近はめっきり少なくなりましたね。
4月バカなんていうとドン引きされる時代になっちゃいました・・・。
今日は沼津市H様邸の内部建具塗装工事に伺いました。
塗装後に障子紙を貼ったり、透明ガラスをはめたり、クロスを貼ったりする後工程が控えている建具がとりあえず入りました。
まだまだこれから建具は搬入される予定ですが今回はとりあえず15枚の建具が搬入されました。
最近はこういう建具塗装の工事が少なくなりました。
窓枠や建具枠がコストダウンの為にほとんど塩ビシートを張り付けた既製品になっています。
それらが良いか悪いか、好むか好まざるかはお施主様の判断ですから致し方ありませんが、作り手からするとやっぱり寂しいものがあります。
私がこの仕事に就いた頃は住宅内部の木部、建具はすべて塗装仕上げでした。
材木屋さんと大工さんが工務店さん、設計士さん、そしてお施主様と打ち合わせを重ねながら無垢の木材を吟味して造作を作り上げて、その工程途中でカンナで削り、それにオイルステインで見本を作りながら打ち合わせで色を決定し、オイルステインで着色後、ウレタンクリアーを最低3回塗り、その工程の間、間に280番サンドペーパーでサンディング・・・。
手間暇がかかっていましたね。
だから作り手がちょっとでも手を抜いたり、仕事の仕方を知らなかったりすると木材の肌がザラザラで触れたもんじゃありません。
そうならないように大工さんや現場監督と常に話し合いをしながら仕上げていったものです。
メリットとして既製品は誰が作っても同じ出来栄えで遜色ありません。
勿論デメリットもあります。
建具の立てつけが経年変化で狂ったりしても削って直すとか出来ませんし、ドアノブや蝶番が壊れたり、建具自体に大きな傷ができたりしても直す事が出来ずに交換・・・。
でもすでに廃番となっていてドア枠ごと違う色目の既製品の物に全部交換・・・。
まだ問題があります。
ドア枠を交換するときに壁の石膏ボードも壊さなければならないのでついでにクロスも張り替えと必然的になってしまい大事に・・・。
例えば部屋の中のクロスと廊下のクロスを張り替えなければならなくなって、どんどんクロスの張り替え面積が広がっていきます。
最初から住宅内部のリフォームを考えていれば想定内でしょうけれども、そうでない場合には「え〜〜〜!そんな大袈裟になっちゃうの〜〜〜?!」という風になってしまいます。
それってどうなのかな〜?
なんて思ってしまいます。
良くも悪くも作り手の息吹が感じられる『商品力』を兼ね備えている住宅が少なくなって、職人の技術の継承が難しくなっているのは否めません。
普通は障子は塗装しませんが、最初から日に焼けてなるべく枯れた感じを演出すべく杉が日に焼けた感じの茶色で仕上げていきます。
その前に障子紙が貼られるのりしろの部分をマスキングテープでマスキングします。
理由は塗料を塗ってしまうと糊がはじかれてしまって障子紙の着きが悪くなるからです。
これ、けっこう何十メートルって長さのマスキングテープを使うんです。
本当は今日中に全部の建具を塗り終えたかったのですが障子を塗るのにけっこう時間が掛かりまして・・・。
雨戸やブラックに塗る建具、作り付けの棚の扉が残ってしまいました。
明日に持ち越しです。
円柱形の部屋です。
実に愉快なデザインです。
アール形状の壁に総パテ処理をして、サンドペーパーでツルツルになるまで研ぎだしてからダイノックシート(硬めの薄いクロス?シート?)を貼ります。
左官屋さんが小さなコテを使って白ジュラクを壁に塗っています。
電気を付けて尚且つ作業箇所のすぐ近くを照らしていますが、これは光の明暗によって少しの凹凸もわかり易くなりその凹凸部分をコテで平らに均しやすくするためです。
観ていても緊張感があり、息をすることもはばかれる空気が漂っています。
職人それぞれが長年かけて体得してきた五感で感じる”勘”で作り上げる『商品力』がある住宅を作りたい。
それってイコール高価?高額?な住宅?
珍しい材料や高価な建材を使えばもちろんコストアップに即つながりますがそこそこの材料、建材で造ってそれにちゃんとした”職人の勘”が加わればきっと良い『商品力』を持った住宅が出来る筈。
材料費、工賃は勿論の事、その他に技術料的なことも掛かる場合がありますが、ちゃんとした”職人の勘”って本当は当たり前に備わっている筈の技量であって、それは当たり前にお施主様に提供するものですから極論”タダ”(無料)であっても良いと思います。
その”職人の勘”、もしくは技術という事への目利きの力がお施主様にも必要になってきます。
望む側、望まれる側の思惑が合致した時にきっと良い『商品力』を持った住宅が出来る事でしょう。
今日はちょっと講釈が過ぎてしまいました。
明日もH様邸に伺います。
では、また。